2018年08月06日

ガッキイジリ(依頼品)Part2


(Part1 からの続き)

S氏から預かった時は、決して

良い状態を保っているとは言えま

せんでした。

初診では・・・

① トーンポッドのシャフト折損

② ナットの欠損

③ ペグ固定ネジの欠落

④ ペグブッシュのガタツキ

⑤ ネックの順反り

⑥ ブリッジ駒の固着

⑦ フレットなど金属パーツのサビ

⑧ 全体的な汚れ


IMG_5397.jpg

IMG_5400.jpg

IMG_5403.jpg

IMG_5405.jpg

IMG_5401.jpg

はい、やる事盛り沢山でございます。

まずは折損したトーンポッドの交換です。

IMG_5406.jpg


このシャフトってSUS鋳物製なんですかねぇ?

こいつが折れちゃうと、ポッドごと新品に

しなければならないので面倒なんです。

今回は CTS 250kΩ Aカーブに交換しました。

IMG_5428.jpg

続いて 1弦側が欠けてしまった

ナットの作成です。既製品の

リプレイスメントパーツがあるのですが

微妙に合わないので、既設の

ナットに欠損部分をボンドで接着して

から、急きょ購入したムクのタスク製ナット

に型を転写して、一から削り出しをしました。

IMG_5407.jpg

専用のナット組ヤスリで弦溝を掘って完成。

IMG_5408.jpg

ペグは一つづつ取り外して、研磨と

手入れをしました。欠落した固定ネジは

在庫から対応。 またブッシュのガタツキは

ロックタイトで完全接着という方法もあるの

ですが、後々の事を考慮して手製の木工パテで

固定する事としました。

ブリッジも取り外して、手入れ・錆落としをし

駒も問題なく動作するようになりました。

IMG_5429.jpg

IMG_5431.jpg

フレット、その他の金属パーツの研磨

手入れ、指板の清掃、ボディおよびネックの

清掃、アウトプットジャックへの接点復活剤塗布

トラスロッドの調整(反り修繕)

オクターブピッチ調整にて、全工程完了です。

IMG_5432.jpg


はい・・・いかがでしたでしょうか?

相も変わらず、一部の方にしか

ウケないような内容で大変申し訳

ありませんでした(汗)

皆さんも、大切な楽器は定期的に

メンテナンスをして下さいね。

では、今回はこのへんで。






posted by 二代目店長 at 15:20| Comment(0) | その他楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ガッキイジリ(依頼品)Part1


皆様、猛暑日が続いておりますが

体調など崩されていませんか?

どうかご自愛ください。

二代目店長こと わたくし Yoshi ですが

佐賀野楽器製作所主宰者同様

夏は「大」が付く程 キライです。

あぁ・・・・

早く秋にならないかなぁ・・・

早くコオロギの声が聞きたいなぁ・・・


さて、そんな夏嫌いなわたくしは

一歩も外へ出たくないような猛暑日には

人の楽器をメンテナンスなんかして

過ごします。


今日ご紹介をするのは、名古屋市は

北区上飯田南町にございます

某楽器製作所 主宰者S氏所有の

「Fender Japan '62 PB」でございます。

IMG_5396.jpg

一部の「ジャパンビンテージファン」

の方々からは大変高い評価を

受けている「Eシリアル」です。

Eシリアルは 1984年~1987年まで

の短期間にフジゲンにて製造された

シリーズでして「完成度が高い」やら

「良質な木材が使われている」といった

高評価を受けており「JVシリアル」同様

根強く人気が高いのです。

まぁ しかし・・・

30年以上も前ですからねぇ。

良質な木材は現在よりも調達が容易

だったんだと思いますし、もともと当時の

ご本家(USA)よりも基本的に丁寧に

作られていたんだと思います。 ただ

フジゲンが神田商会から離脱する直前で

シリーズ短命だった事から希少価値が

値段に反映されてしまっただけなんだと

僕個人は考えております。 


これよりメンテナンスの模様を

端折ってご紹介をしていく訳ですが

「ビンテージ品はパーツのことごとくを

オリジナルのまま残すものであって

交換なんてとんでもない!」と

鼻息を荒くするマニアな方もいます。

交換した時点でビンテージ価値が

一気に下がるのだそうですが・・・

これ、どうなんでしょ? 僕は

「鳴らねぇ楽器はただのオブジェだ」

というポルコ的考え方でございますので

所有者の許可さえあれば、 さっさと

新しい部品に交換をしてしまいます。


はい、という事でその模様は Part2へ。












posted by 二代目店長 at 12:59| Comment(0) | その他楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月08日

その後のJB75(ガッキイジリpart2)


みなさん
顔、クシャクシャになってません?

もうね・・・「花粉」と聞いただけで
鼻水が垂れよるんですよ、条件反射で。
パブロフの犬みたいなもんです。

さて

以前、Fender Japan JB75 の
改造過程をご紹介しましたが
今回はその仕上げとなります。

今回はノイズ対策として
コントロールキャビティ内と
ピックアップキャビティ内に
ドータイト(導電塗料)を
塗布し、そのついでに
各ピックアップの配線も
すべて BELDEN社製のものに
交換しました。

合わせて、以前から気になって
いた弦高を、あれこれ調整しました。

工程ごとに写真を撮るつもりだった
のですが、作業に夢中になると
つい忘れちゃうんですよねぇ・・・

と、いう事で少ない写真をアップします。
まずはコレ

IMG_4647.jpg

はい
ドータイト塗布後乾燥待機中の
様子です。
作業としては、まずキャビティ内の
塗膜表面を粗し、ドータイトの
「載り」を良くします。
(ピックガードは塗布後に復旧を
 したものです・・・念のため)

2度塗りをし、しっかり乾燥をする
間に、ピックアップの配線を変更します。
が・・・
写真を撮るのを失念しておりました(汗)

ノイズ対策を終え、つづいて弦高調整です。

「ん?ブリッジの駒で高さを調整すれば
 良いんではないの?」と思った方は
鋭い! 
・・・ですが、それだけでは限界が
あるんですね。
(ここら辺の説明は大変長く
なってしまうので割愛します)

今回はここに注目をしたんです。

IMG_4689.jpg

はい
一からナットを作り直したんですねぇ

ナットの弦溝をギリギリまで堀り下げ
弦高を下げるってぇ算段ですゎ~

「既設のナットを掘れば良い
 のでは?」と思われるでしょうが
失敗したら後の祭りですから
既設物は保険で保管が鉄則なのです(笑)

このベースはラディアス指板に
なっており、ナットもその曲線に
合わせて加工をしなくてはならない
のです。う~ん、小難しい・・・

納得のいく曲線ができたところで
今度は弦の溝切りです。
ブリッジからピックアップの
ポールピース真上を通り、ペグに
至るまでの位置関係を確認し
ケガキを入れたら、ホスコの
弦溝専用ヤスリで、慎重に堀り
込みます。

余談ですが、この
ホスコの専用ヤスリって
ちょっと高価ですが持っていると
非常に便利ですよ。(ギター用など
種類も豊富ですよ)
リンクを貼っておきますね。
http://www.hosco.co.jp/japan/products/hosco_luthierstools_gr1.html

はい、で、ネックに収めたら
こんな感じ

IMG_4690.jpg

以前からストックしてある
鼈甲柄のピックガードに変更し
同じくストックしていた
ブリッジカバーなんぞをマウントしたら
完成で~す。

IMG_4688.jpg

実はこのジャズベ・・・
後輩に貸したままに
なっていた物なんです。
後輩いわく
「クローゼットのオブジェ」だった
そうで、ほぼ 貸し出す前の状態を
保っていました。
(それもどうかと思うけど・・・)

という訳で、二回に渡って
お送りした、マニア諸兄くらいしか
興味が湧かないであろう
「ガッキイジリネタ」も完結で
ございます。

では また。





posted by 二代目店長 at 09:15| Comment(0) | その他楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする